『旅人と三つの扉』
ある旅人が賢者に言った。
「私は何度も学びを始めました。
けれど、いつも途中でやめてしまいます。」
賢者は三つの扉を指さした。
一つ目の扉は重く、
開くには長い坂を登らなければならなかった。
二つ目の扉は決まった時刻になるとしか開かなかった。
三つ目の扉は、小さく、軽かった。
旅人が近づくと、
静かに開いた。
旅人は言った。
「こんな簡単な扉でいいのですか。」
賢者は微笑んだ。
「学びを続ける者は、
難しい扉を開ける者ではない。
**何度でも開けたくなる扉を選ぶ者だ。」
旅人は毎日、
その小さな扉を開いた。
ある日は五分。
ある日は二十五分。
気分の良い日は、
もう一度扉を開いた。
やがて旅人は、
異国の人と言葉を交わせるようになった。
人々は尋ねた。
「あなたは特別な才能があったのですか。」
旅人は首を振った。
「いいえ。
私はただ、
開けるのが苦にならない扉を選んだだけです。」
賢者は最後に言った。
人は困難だから成長するのではない。
続けられるから成長するのである。